見積もりをもらっていよいよ契約という段階で「セレナ」とスマホで検索したら、候補欄に「やめとけ」と表示されてギクッとしたことはありませんか。
ついタップして悪い噂を読んでしまい、ハンコを押す手が止まってしまうのも無理はないですよね。400万円近いお金が動く大きな買い物だからこそ、最後の最後に確かめたくなるものです。
でも、そうした不穏な言葉の正体を探ってみると、実はごく一部の乗り方や勘違いから生まれた意見がほとんど。自分の使い方に当てはまらない内容なら、過剰に身構える必要はありません。
この記事では、以下について掘り下げます。
- 「セレナC28はやめとけ」と言われる5つの理由
- セレナで後悔しやすい人の特徴
- それでもセレナが選ばれる理由
- セレナで後悔しないための選び方
こうした検索候補に現れるネガティブな声の本当のところを、ひとつずつ解きほぐしていきましょう。
「セレナ C28はやめとけ」と言われる5つの理由

セレナに対する否定的な声を見ていくと、その多くは次のように価格や走り、乗り心地に集まっていることが分かります。
- e-POWERの価格の高さ
- 高速燃費の伸び悩み
- 乗り心地の硬さ
- 故障やトラブルへの不安
- リセールバリューの低さ
とはいえ、そうした声には一世代前の話や主観的な意見も少なくありません。今のモデル(C28)でどう変わったのかを意識しながら、気になるポイントを見ていきましょう。
e-POWERの価格の高さ
セレナを検討するうえで、まず直面するのが価格の壁です。
マイナーチェンジを経て、現在の価格帯は278万5,200円〜499万8,400円(税込)へと広がりました。とりわけe-POWERは同グレードのガソリン車と比べて50万〜65万円ほど高く設定されています(2WD同士で約50万〜55万円、4WDのe-4ORCEでは約61万〜65万円の差)。
装備や燃費の良さを考えれば納得のいく設定ともいえますが、ミニバンにここまでの金額を出すのかと躊躇してしまうのも無理はありません。
ベースとなるガソリンXと最上位のLUXION(ルキシオン/499万8,400円)の間には220万円以上の開きがあるため、グレードの選び方を誤ると当初の予算を大きくオーバーしてしまいます。
高速燃費の伸び悩み
値段に続いてよく話題へ上るのが、高速道路での燃費問題です。
セレナのe-POWERはガソリンエンジンを発電専用に使い、電気の力だけでタイヤを回す仕組みを採用しています。ブレーキによる充電チャンスが少ない高速道路ではエンジンがずっと頑張って発電するため、高速を走り続けると燃費が伸びにくいという一面があるのです。
ハイブリッドなら高速でもグングン燃費が良くなるはずと思い込んでいると、期待外れに感じてしまうかもしれません。
どちらかというと、近所の買い物や市街地の送迎で真価を見せるタイプだと知っておけば、乗ってからのガッカリ感も防げるでしょう。
日産が公表している燃費(WLTCモード)でも、e-POWER X(2WD)は市街地21.3・郊外21.3・高速道路19.3km/Lと、高速道路がいちばん低くなっています。ガソリン車(2WD)は9.5・13.6・14.9km/Lと高速道路がいちばん高いので、ちょうど逆の並びです(日産の2026年3月版の諸元表)。
乗り心地の硬さ
3つ目にチェックしておきたいのが、普段の乗り心地です。
セレナは足回りがやや硬めに作られていて、ガタガタした道を走るとゴツゴツとした突き上げ感が伝わってくることがあります。「家族を乗せたら車酔いしてしまった」などの感想の背景にも、こうした揺れ方が関係しているのかもしれません。
車体がボリューミーなぶん小回りが利かず、狭いコインパーキングなどで少し神経を使うところも気になります。
ただ、この硬さがあるからこそ、カーブを抜けるときや高速走行時のふらつかない安心感が生まれています。
乗り味の好みは乗る人によって大きく分かれる部分なので、契約前に家族みんなで試乗してみて、実際の揺れ具合を確かめておくのがおすすめです。
故障やトラブルへの不安
購入前に引っかかりやすいのが「故障が多いのでは?」という不安ですよね。
実は先代のC27型でスライドドアの不調が相次ぎ、走行中にモーターが止まりかねないリコールも出たことから「セレナ=壊れやすい」という評判が広まってしまいました。
けれど、このモーターのリコールは先代C27のe-POWER車の話で、今のC28型は対象に入っていません。ネット上の怖い書き込みを見かけたときは、何代目の話なのかを冷静に見極めたいところです。
とはいえ、現行のC28型も初期のころはいくつかリコールが出ています。対象となった主なポイントを並べてみました。
- CAN通信制御プログラム(2024年5月届出)
- ナビ制御ユニット(2024年5月届出)
- 降車時オートロック作動灯(2024年10月届出)
- ルーフトリム(2024年10月届出)
CAN通信制御プログラムは、警告灯が点いて運転アシストが使えなくなったり、エンジン(e-POWERシステム)がかからなくなったりするおそれを直すものです。ナビ制御ユニットは安全確認カメラが映らなくなる症状、降車時オートロック作動灯は光っている時間が保安基準を満たしていなかったことへの対策になります。ルーフトリムは、天井の内張りが厚すぎてカーテンエアバッグが正常に開かないおそれがあったもので、2023年12月に作られた197台が対象です。
上の3つは部品交換ではなくコンピューターの修正作業で直る内容で、ルーフトリムは内張りを良品に取り替えます。どれも直し方が決まっているので、買う車が対象かどうかと、直しが済んでいるかさえ確かめておけば、必要以上に怖がることはありません。
これから手に入れる予定の車に対策が終わっているかどうか、お店へさらりと確認してみると心強い味方になってくれます。日産の公式サイトのリコール検索に車台番号を入れれば、自分でも確かめられます。
参考:
日産自動車|セレナのリコールについて(2023年7月14日届出)
日産自動車|セレナのリコールについて(2024年5月30日届出)
消費者庁|電気装置(ナビゲーションコントロールユニット)の不具合
日産自動車|アリア、ノート、セレナのリコールについて(2024年10月3日届出)
日産自動車|セレナのリコールについて(2024年10月3日届出・ルーフトリム)
リセールバリューの低さ
最後は、数年後に愛車を手放すときのリセールバリューについてです。
ライバルであるノアやヴォクシーは下取り価格が高く残りやすいことで有名なので、それと比べると「セレナはちょっと弱いかも……」と心配する声も聞こえてきます。短期間で乗り換えていく予定の方ほど、この差額は気になってしまいますよね。
でも、セレナの中でもe-POWERや人気のハイウェイスター、王道の定番カラーを選んでおくだけで大幅な値崩れは防ぎやすくなります。
将来いくらで売れるかは、最初に選ぶグレードと色である程度カバーできると考えておくと、気持ちもグッと楽になるはずです。
リセールの鍵は売れ筋グレード×定番カラー
セレナで後悔しやすい人の特徴

ここまでの理由を裏返すと、後悔しやすい人の姿が見えてきます。これはセレナの良し悪しというより、乗り方や求めるものとの相性の問題です。次に当てはまる人は、契約前にもう一度立ち止まって考えてみてください。
- 高速道路を長く走る人
- 走り・内装の質感を求める人
- 初期費用を最優先したい人
高速道路を長く走る人
通勤や出張で毎日のように高速道路を使うなら、e-POWERは積極的にはすすめられません。前述の通り高速巡航はe-POWERがもっとも苦手とする場面で、燃費のメリットが薄れるうえに、発電のためのエンジン音も気になりやすいためです。
高速中心の使い方であれば、ガソリン車や、エンジンが直接タイヤを駆動するトヨタ・ホンダのハイブリッドのほうが特性が合います。セレナそのものに強いこだわりがなければ、他の選択肢も含めて検討する価値があります。
走り・内装の質感を求める人
価格が上がったこともあり、内装の上質さや軽快な走りを期待すると、実際とのずれを感じやすくなります。セレナはあくまで実用重視の一台で、質感やスポーティさを最優先する人には向いていません。
その方向で満足したいなら、ノアの上位グレードや、思い切って別ジャンルの車まで視野を広げたほうが、結果的に近道になります。
初期費用を最優先したい人
とにかく初期費用を抑えたい人にとっても、e-POWERの価格は重く感じられます。ガソリン車との価格差に加えて、オプションを追加していくと総額はさらにふくらむためです。
初期費用を最優先するなら、ガソリン車を選ぶか、状態の良い中古や型落ちのC27に目を向けるほうが目的に合っています。燃費で差額を取り返すという発想は、長く乗って初めて効いてくる考え方だと割り切っておくのが現実的です。
それでもセレナが選ばれる理由

気になる話が続きましたが、セレナは今も売れ筋のミニバンです。弱点の裏側には、選ばれるだけの強みがあります。後悔しやすい人とちょうど鏡合わせになる形で、どんな人に向いているのかを見ていきます。
- 街乗りでの静かさ
- 運転支援の手厚さ
- 家族での使い勝手
街乗りでの静かさ
セレナのe-POWERがもっとも力を発揮するのは、送迎や買い物といった街中の移動です。信号待ちからの発進はモーターならではの滑らかさで、エンジン車のような音や振動をほとんど感じません。子どもが眠ってしまった車内でも、静けさを保ったまま走れます。
街乗りは減速の回数が多く、そのたびに回生ブレーキで発電できるため、燃費も伸びやすくなります。高速が苦手なことの裏返しで、ストップ&ゴーの多い日常こそe-POWERの得意分野です。
運転支援の手厚さ
運転のしやすさも、セレナが支持される大きな理由です。アクセル操作だけで加減速できるe-Pedal Step(止まるときはブレーキを踏みます。先代のe-Pedalのように停止までは行いません)は、渋滞や街乗りでの足の負担を軽くしてくれます。
高速道路でのプロパイロット、駐車時のアラウンドビューモニターなど、運転に自信がない人ほど助けられる装備がそろっています。安全装備の実力や使い勝手は、単体で詳しく確認しておく価値があります。

家族での使い勝手
家族で使う道具として見ると、セレナは完成度の高い一台です。低い床と大きく開くスライドドアは、子どもの乗り降りやチャイルドシートの付け外しを楽にしてくれます。シートアレンジの自由度も高く、荷物や人数に合わせて形を変えられます。
一方で、3列目が広いとはいえないという指摘はその通りで、大人が長時間座るには手狭です。ただ、ふだんは2列目まで、3列目は必要なときだけという使い方の家庭なら、不満は出にくいはずです。
セレナで後悔しないための選び方

最後に、購入を決めたあとで後悔しないための選び方をまとめます。セレナは選び方しだいで満足度が大きく変わる車です。グレード・試乗・中古の順に、押さえておきたいポイントを見ていきます。
グレード選びの優先順位
グレード選びで大切なのは、価格の安さだけで決めないことです。C28はプロパイロットが全グレードに標準ですが、いちばん安いXはハンズフリーオートスライドドアが両側標準ではなく、助手席側だけメーカーオプションです(XVパッケージ以上は両側が標準。日産の主要装備一覧)。毎日の送り迎えで使う装備を削って、あとから悔やむ声はよく聞かれます。数万円から数十万円の装備差が、毎日の快適さと数年後の売値の両方を左右します。
コツは、先に「絶対に欲しい装備」を決めておくことです。それを含む最安グレードを起点に選べば、予算内で満足度を高めやすくなります。現行C28で何が変わったのかを押さえておくと、グレードの比較もしやすくなります。

試乗で見ておきたいこと
試乗で確かめたいのは、カタログでは分からない部分です。荒れた路面での乗り心地の硬さ、エンジンが発電を始めたときの音、3列目の広さや乗り降りのしやすさなどが、その代表です。
家族を乗せる前提であれば、いずれも自分の感覚で確かめておく価値があります。
中古を選ぶときの注意点
予算を抑えたい場合は、型落ちのC27やC28の中古も有力な選択肢です。ただし中古は個体差が大きいため、電装系の動作・バッテリーの状態・保証の有無は必ず確認しておきます。特に先に触れたリコールの対策が済んでいるかは、納車前に確かめておきたいポイントです。
中古車選びそのもののコツは、車種を問わず共通する部分が多くあります。「失敗しない中古車の選び方がわかる」も合わせて読んでおくと、判断の基準ができます。
セレナ やめとけでよくある質問

最後に、購入を迷う人からよく挙がる質問に答えます。残っている不安を、ここで解消しておきましょう。
バッテリー交換に何十万もかかる?
結論からいえば、心配は不要です。「何十万円もかかる」と言われるのはモーターを動かす駆動用バッテリーのことで、日産の特別保証(新車登録から5年、または走行10万kmのどちらか早いほう)の対象です。ふだん「バッテリー上がり」で交換するのは、どの車にも積まれている12Vの補機バッテリーのほうで、費用は数万円ほど。2つはまったくの別物です。中古で新車登録から5年を過ぎた車は保証が切れていますが、日産は「通常の使用方法であれば劣化による交換は不要」としています。
「セレナはバッテリー交換にお金がかかる」というイメージの源流は、C26・C27のS-HYBRID車にあります。S-HYBRID車はメインとサブの補機バッテリーを2個積んでおり、劣化する時期が重なるため2個まとめて交換するのが一般的でした。ディーラーでは技術料込みで7〜10万円かかることもあります。補機バッテリーの選び方は「セレナ(C26・C27)バッテリー交換におすすめの5選を紹介」が参考になります。
現行C28では、この2個構成そのものがなくなりました。2個を前提としたS-HYBRIDが廃止され、ガソリン車もe-POWER車も補機バッテリーは1個だけです(もともとC27のe-POWERは1個でした)。バッテリー費用という点では、C28はむしろ心配の減った世代です。
ノアやヴォクシーと比べてどう?
価格やリセールの面では、トヨタのノア・ヴォクシーに分があります。一方で、モーター走行のなめらかさと街中での静かさは、セレナが明確に上回ります。数字で選ぶならトヨタ勢、乗り味で選ぶならセレナという住み分けです。
同じ条件で迷っているなら、ステップワゴンも含めて実際に乗り比べるのが確実です。詳しい比較は関連記事にゆずります。

中古のセレナはやめたほうがいい?
中古だからといって、一律に避ける必要はありません。セレナは世代ごとに中古の狙い目があり、C26・C27・C28それぞれに価格と装備のバランスが良い個体があります。世代ごとの違いは「セレナC27後期のマイナーチェンジ内容とは?C26前期&後期・C27前期と比較」にまとめています。大事なのは年式よりも状態と保証で、そこを見極められれば中古は十分に選択肢になります。
先ほど触れた電装系やリコールのチェックさえ押さえておけば、過度に恐れることはありません。予算に合わせて賢く選んでみてください。
まとめ

「セレナ C28はやめとけ」という評価は、誰にとっても当てはまる話ではありません。高速道路をよく走る人、走りや内装の上質さを最優先する人、初期費用をとにかく抑えたい人にとっては、たしかに他の選択肢のほうが満足度は高いかもしれません。
反対に、街乗りや送迎が中心で、静かさや運転のしやすさ、家族での使い勝手を重視するなら、セレナは今も有力な一台です。また、「壊れやすい」「バッテリー交換が高い」といった評判の多くは先代C27までの話で、現行C28では対策が用意されています(1台ずつ入れるリコールは、対象かどうかを日産のサイトで確かめてください)。
判断の決め手になるのは口コミの評判ではなく、自分の乗り方に照らして考えることです。購入を決めたら、グレード選びと試乗でつまずかないこと、そして条件面をしっかり詰めることが、後悔をもっとも遠ざけます。値引きの引き出し方は「セレナの値引きを限界まで引き上げる方法」にまとめているので、最後のひと押しに役立ててください。
