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セレナ自動ブレーキの性能は悪い?仕組み・評価と事故例・他車比較

さまざまな車種で採用されるようになった自動ブレーキ。

これは今や自動車業界の世界的なトレンドです。

安全技術で高い評価を受ける日産がほこるミニバン、セレナに搭載される自動ブレーキはどのようなものなのでしょうか。

仕組み・評価・他車との比較に加え、一部で性能が悪いと言われる点についても、誤作動・事故の例から調べてみました。

目次

セレナ自動ブレーキの仕組みと性能

まずはセレナに搭載されている自動ブレーキの仕組みについてご紹介します。

次にセレナの自動ブレーキについて具体的な数字を交えた解説。

最後に自動ブレーキの性能を測るポイントについてみていきます。

セレナ エマージェンシーブレーキの仕組み

セレナのエマージェンシーブレーキが作動

日産セレナに搭載されている自動ブレーキは「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」。

以下、エマージェンシーブレーキと表記(あるいは自動ブレーキと表現)。

エマージェンシーブレーキは、セレナのフロントカメラで前方の車両や歩行者を検知するシステムです。

衝突の可能性が高まると、メーター内ディスプレイへの警告表示・ブザーでドライバーに危険を知らせます。

ドライバーが安全に減速できない場合は自動で緊急ブレーキを作動させます。

このようにエマージェンシーブレーキは危険を事前に察知して衝突を回避し、被害を軽減する仕組みです。

単眼カメラ方式による自動ブレーキであり、映像処理の向上と同時に低コスト化を実現しています。

C27は全車で標準装備です。単眼カメラだけで検知するのは2019年7月までのC27で、2019年8月以降のC27はレーダーも加わりました。今の現行はC28です。

セレナ 自動ブレーキの性能

物体を認識するセレナの自動ブレーキ

セレナの自動ブレーキはフロントカメラで前方の車と歩行者を認識します。

前方のクルマ・人を検知してくれるので、安心感をもって運転できるのは嬉しいところです。

ただし取扱説明書には、子どもなど背の低い人、動物、自転車は検知しないと書かれています。

約10〜80㎞/hの範囲で自動ブレーキが作動可能です。

一般道を走行するスピードではほとんどの場合、自動ブレーキが作動可能ということになります。

日産は「衝突を回避、または衝突時の被害や傷害を軽減」としていて、必ず回避できる速度は公表していません。

歩行者に対しては約60㎞/h以上では作動しない仕組みになっています(止まっている車には約80㎞/hまで作動します)。

いつ何時も自動ブレーキが作動するとなるとかえって危険ですからね。

自動ブレーキの性能について

歩行者を認識するセレナの自動ブレーキ

自動ブレーキの性能を考えるときに見るべきポイントは以下の4つがあります。

これは後に述べる性能比較のところでも出てきます。

自動ブレーキのポイント
  1. 自動ブレーキ作動速度
  2. 衝突回避支援
  3. 歩行者検知
  4. 誤発進抑制

セレナの場合だと、①・②は先に述べたとおりで①は約10〜80㎞/h、②は「衝突を回避、または被害を軽減」で、回避できる速度は公表されていません。

③歩行者検知もセレナは装備しています。

④誤発進抑制についても、セレナには「踏み間違い衝突防止アシスト」がメーカーオプションで設定されています。

安全装備のパック(セーフティパック)の選び方は「【解説】セレナC27のオプションでおすすめは?」にまとめています。

セレナの自動ブレーキは、次にみていくように概して評価が高いです。

セレナ 自動ブレーキの評価

日産は安全への取り組みを重要課題と位置づけ当時「Vision ZERO」をかかげていました。

自動車の安全性を評価する「自動車アセスメント(JNCAP)」でも高い評価を受けています。

日産の安全への取り組み

滑走するセレナ

日産の「Vision ZERO」とは、2015年までに同社の製造する車両に関わる国内の死亡・重傷者数を1995年から半減させ、最終的には実質ゼロを目指すプロジェクトのこと。

この目標を2015年に達成しています。

次は2020年までに、死亡・重傷者数を2015年よりさらに半減させ、1995年比で4分の1にまで減らす取り組みを当時は掲げていました。今は「日産車がかかわる交通事故の死者数を実質ゼロにする(ゼロ・フェイタリティ)」を目標にしています。

具体的には、エマージェンシーブレーキの標準化に加え、ディスタンスコントロールアシスト(前方車との急速な接近に対してアクセルペダルを押し戻す)、前方衝突予測警報(ミリ波レーダーを利用して2台先の車両挙動を察知する)など新技術を投入していく予定でした(前方衝突予測警報は2019年8月以降のC27に付いています)。

セレナに搭載される日産自動ブレーキの評価

最高評価を獲得したセレナ搭載の日産自動ブレーキ

日産の自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキは、セレナをはじめリーフ・ノート・エクストレイル・ジュークなど、多くの日産車で搭載されています。

2016年度の自動車アセスメント(JNCAP)の予防安全性能評価では、自動ブレーキ(被害軽減ブレーキ)の項目が以下のような結果でした。

対車両:32点満点
対歩行者:25点満点

自動ブレーキ以外の他の項目では次のような結果でした。

はみ出し警報:8点満点
後方視界情報:6点満点

71点満点で71点という最高評価「ASV++(ダブルプラス)」を獲得しています。満点はJNCAPで初めてで、別の衝突安全性能評価でも最高の「ファイブスター賞」を取っています(e-POWER車を除く。2017年5月公表)。

JNCAPは国土交通省と独立行政法人・自動車事故対策機構(NASVA)が実施しています。

このような組織が与えている評価なので信頼性は高い。

はずなのですが、誤作動・事故例も報告されています。

セレナ 自動ブレーキの性能は悪いのか?

セレナの自動ブレーキは、実は性能が悪い?

高い評価を受けているセレナの自動ブレーキですが、誤作動や事故の例もないわけではありません。

セレナ 自動ブレーキの誤作動例

セレナe-POWER2018年モデルで聞かれた誤作動の例です。

天候は雨、時刻は夕方、ドライバーは30㎞/hで走行していました。

前方を走るクルマや周囲に障害物がなかったにもかかわらず、急に警告音が鳴り、エマージェンシーブレーキが作動しました。

このケースは自動ブレーキが作動する速度の範囲でしたが、衝突の危険性がないにもかかわらず作動しています。取扱説明書にも、路面や壁の模様、トンネル・ガードレール・反射板などの形が車や人の輪郭に似ているとシステムが作動することがある、と書かれています。

このような誤作動を起こして予期せず突然ブレーキがかかると追突事故につながりかねません。

次は事故の例ですが、本ケースと共通点がみえてきます。

セレナ 自動ブレーキの事故例

「自動ブレーキ作動せず事故 日産販売店長ら書類送検 千葉県警、全国初」

このような見出しで2017年4月14日、千葉日報オンラインに掲載されたニュース記事からです(千葉日報・国土交通省の発表)。その後、千葉地検は3人を不起訴にしています(千葉日報 2017年7月1日)。

簡単に説明しますと、セレナの試乗をしていた客が、同乗していた日産の販売店店長と営業社員に指示され、ブレーキペダルを踏むべきところをエマージェンシーブレーキを試すためにあえて踏まず、事故を起こしたというケースです。

なんとも情けない話といえばそうなのですが、このときの状況から見えてくるものもあります。

エマージェンシーブレーキが作動しなかったときの状況

客はプロパイロット(車間距離と車線を保つ運転支援)を使って一定の速度で走行していました。

「本来はここでブレーキですが、踏むのを我慢してください」と指示され、ブレーキを踏まなかったところエマージェンシーブレーキが作動せず、信号待ちしていた前方車に衝突しました。

このときの天候は雨で、時間帯は夜間、前方車は黒色のクルマでした。

これはさきのセレナe-POWERでの誤作動例と状況が似ています。

雨降り、日が沈む時間帯。

本事故例ではさらに前方のクルマも暗い色。

これらの条件が重なるとセレナの単眼カメラは物体を検知しづらくなることがあると言えますね。

自動ブレーキを過信せず正しく理解する

今回の例のように自動ブレーキを過信することはもちろんよくない。

国土交通省と警察庁の発表では、使っていたのはプロパイロットで、自動ブレーキが作動しなかった理由は「走行環境の影響」とされています。作動する速度の範囲の中でも、雨や暗さなどの条件で検知できないことがある、ということです。

過信だけでなく、機能の限界を理解していないことも事故につながります。

エマージェンシーブレーキの性能側だけでなく運転する人間側の要因によっても「誤作動」と事故が起こりうるということですね。

自動ブレーキの他車ミニバン比較

最後に、セレナのライバルであるミニバン、トヨタ・ヴォクシーとホンダ・ステップワゴンの自動ブレーキ性能についても簡単に触れておきましょう(ここでの比較は2018年当時の型どうしです)。

トヨタ ヴォクシーの自動ブレーキ性能


出典:トヨタヴォクシーサイト

トヨタ・ヴォクシーは「Toyota Safety Sense(トヨタ・セーフティ・センス)」という自動ブレーキシステムを採用しています。

自動ブレーキといってもその方式は様々です。

セレナは単眼カメラによるものでしたが、ヴォクシーではカメラとレーザーレーダーを併用するハイブリッドなシステムになっています。

自動ブレーキの性能は以下のようになります。

ヴォクシーの自動ブレーキ
  • 自動ブレーキ作動速度:約10〜80㎞/h
  • 衝突回避支援:~30km/h
  • 歩行者検知:なし
  • 誤発進抑制:なし

自動ブレーキの作動速度はセレナと同じ範囲で、歩行者検知・誤発進抑制は当時のヴォクシーには搭載されていません(2019年1月の一部改良で、昼間の歩行者の検知と踏み間違い時の抑制が加わりました)。

関連記事:セレナ・ヴォクシー比較

ホンダ ステップワゴンの自動ブレーキ性能

ホンダ・ステップワゴンは「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を採用。

衝突回避機能などを統合的に備えた安全運転支援システムのパッケージです。

自動ブレーキの性能はどのようになっているでしょう。

ステップワゴンの自動ブレーキ
  • 自動ブレーキ作動速度:約5㎞/h以上
  • 衝突回避支援:前の車との速度差が約5㎞/h以上のとき(歩行者・対向車は自車約80㎞/hまで)
  • 歩行者検知:あり
  • 誤発進抑制:あり

前の車に対しては速度の上限が公式には書かれておらず、歩行者と対向車に対しては自車が約80㎞/h以下のときに作動します。

ステップワゴンはヴォクシーにない歩行者検知・誤発進抑制があるので、3車種で比べたとき自動ブレーキ性能はセレナと同等、あるいは衝突回避支援の性能からそれより高いようにも見えます。

ただしセレナの場合、「踏み間違い衝突防止アシスト」では前進時だけでなく、後退時にも衝突回避を支援します。

ステップワゴンの誤発進抑制は前進時のみです。

関連記事:セレナ・ステップワゴン比較

ヴォクシーもステップワゴンもセレナも、どれが最も優れているとは単純に言えないですが、それぞれ独自のシステムを開発し自動ブレーキなど安全装備の搭載に力を入れています。

ミニバンは家族を乗せる機会が多いものですから、このような安全装備はユーザーにとって最も重視したいポイントの一つです。

セレナ自動ブレーキの性能まとめ

自動ブレーキの搭載は世界的な流れです。

自動運転が実用化されようとしている時代ですから当然とも言えそうです。

セレナが採用する自動ブレーキは「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」。

フロントカメラにより(2019年8月以降のC27はレーダーも併用)危険を事前に検知します。

その性能は、自動車アセスメント(JNCAP)の予防安全性能評価でJNCAP初の満点(ASV++)を獲得。

しかし、一部では誤作動・事故の例もあります。

その条件は似通っていて、雨降り・視界が暗くなる夜間などの時間帯という条件がそろっていることが多いようです。

事故の例で顕著に言えるように、自動ブレーキといっても過信することは絶対にやめましょう。

同システムの搭載により意識が低下し、事故の危険が高まってしまうことほど本末転倒なことはありません。

自動ブレーキやプロパイロットなど先進安全装備で人気のセレナでも、安全の基本はドライバーの注意に他なりません。

このことを改めて確認しましょう。

同時に、日産のさらなる安全装備への取り組みに期待したいと思います。

それでは最後までお読みくださりありがとうございました。

関連記事:プロパイロットパーキング・インテリジェントパーキングアシスト

✳︎出典を表記していない画像はすべて日産セレナサイトからの引用

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