「S-ハイブリッドって、どんなシステム?」
「e-POWERとの違いを知りたい」
「S-ハイブリッドのメリットは?」
日産のマイルドハイブリッドシステムがS-ハイブリッドです。
低コストながら、エネルギー回生やエンジンアシストによる省燃費化を実現しました。
ここでは、セレナS-ハイブリッドの仕組みや燃費について以下の内容でお伝えしていきます。
- S-ハイブリッドというアイドリングストップ技術
- S-ハイブリッドの仕組み
- S-ハイブリッドのメリット
この記事は、セレナC27前期モデルについて解説しています。
中古車として購入するときや、すでに所有しているセレナについて知っておきたいときに参考にしてください。
セレナ S-ハイブリッドはアイドリングストップを改良したシステム
セレナのS-ハイブリッドは、燃費のよさとコンパクト性を両立した、新しいタイプのマイルドハイブリッドシステムです。
ここでは、以下についてお伝えしていきます。
- 新しいアイドリングストップ技術としてのS-ハイブリッド
- マイルドハイブリッドとは
- S-ハイブリッドとe-POWERの違い
マイルドハイブリッドの意味やe-POWERとの違いなど、車に詳しくない人にはわかりにくいため、この機会に正しく理解しておきましょう。
新しいアイドリングストップ技術としてのS-ハイブリッド
S-ハイブリッド理解で欠かせないのが、エコモーター(ECOモーター)です。
エコモーターは「Energy Control Motor」の略で、その名のとおりエネルギーを制御(コントロール)するシステムで、セレナC26型から搭載されるようになりました。
エコモーターは、アイドリングストップの技術です。
ご存知のとおりアイドリングストップとは、信号待ちなどで車を停止させたとき自動でエンジンをオフにし、発進するときエンジンを再始動させるシステムのことです。
停車時にエンジンを止めることで燃費を向上させ、同時にCO2削減を効果を実現しています。
S-ハイブリッドではエコモーターの性能がアップしている。
エコモーター式アイドリングストップの売りは、静かさとエンジン再始動の早さです。
静かなのはスターターモーター音がないからで、ベルトを介してダイレクトにエンジンを再始動させています。
エコモーターはオルタネーター(発電機)としても機能し、減速時にエネルギーを回生し、バッテリーに充電します。
このようなエコモーターを改良して誕生したのが、スマートシンプルハイブリッド「S-HYBRID」です。
マイルドハイブリッドとは
「ハイブリッド」と呼ばれる車には、次の2つがあります。
- ストロングハイブリッド
- マイルドハイブリッド
ストロングハイブリッドとは、モーター(電動機)のみで走ることができるシステムのことです。
これに対してマイルドハイブリッドとは、オルタネーター(発電機)を強化し、エンジンの補助モーターとして利用できるようにしたものです。
マイルドハイブリッドは補助モーターとして走行をアシストできるため、純粋なガソリン車と比べて燃費性能が向上します。
S-ハイブリッドとe-POWERの違い
セレナが搭載しているe-POWERとS-ハイブリッドは、それぞれストロングハイブリッド、マイルドハイブリッドに当たります。
- e-POWER:ストロングハイブリッド
- S-ハイブリッド:マイルドハイブリッド
e-POWERは、ストロングブリッド車のなかでもモーターだけで自走できるストロングハイブリッドに該当します。
これに対して、マイルドハイブリッドであるS-ハイブリッドは、発進加速時にモーターがエンジンをアシストするのみで、あとは純粋にエンジン走行となります。
回生ブレーキにより電気エネルギーをバッテリーに蓄える点はe-POWER・S-ハイブリッドともに共通ですが、走行の仕組みが異なっています。
セレナ S-ハイブリッドの仕組みを3つのシーン別に解説
出典:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/serena/performance.html
S-ハイブリッドは従来のエコモーターを大型化し、1つだったバッテリーに小型のサブバッテリーを追加しました。
つまり、セレナにはバッテリーが2個あります。
>>「セレナ S-ハイブリッドのバッテリー2個をお手ごろ&お手がるに交換する方法」
サブバッテリーの追加によって蓄容量が高まり、同時にエネルギー回生の発電量と出力もアップしました。
発電力は150Aから200Aに、出力は1キロワットから1.8キロワットにパワーアップしています。
同時に、余った電力でトルクアシストも可能となり、発進・加速時にエコモーターがエンジン駆動を補助します。
S-ハイブリッド化によって走りが従来からどのように変わったのか、減速時・停止時・発進加速時に分けて整理すると次のようになります。
- 減速時
- 停止時
- 発信加速時
では、それぞれ詳しく解説します。
S-ハイブリッドの仕組み ①:減速時
出典:https://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/shybrid.html
減速時にはエネルギー回生を行い、車の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収します。
電気エネルギーはバッテリーに蓄えられるわけですが、S-ハイブリッドは蓄電容量が大きくなったのでその分より多くのエネルギーを蓄えておくことが可能です。
S-ハイブリッドの仕組み ②:停止時
出典:https://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/shybrid.html
バッテリーに蓄電された電気エネルギーは、車がアイドリングストップしているときに利用されます。
アイドリングストップ時でも、カーナビやエアコン、オーディオなどの電装品には電力が供給されるため、問題なく使用を続けられます。
バッテリーに多くのエネルギーを蓄えられれば、
- アイドリングストップ時間の延長
- アイドリングストップ回数の増加
ということつながるので、エアコンを使うことが多い夏場でも、無駄なガソリン消費を抑え、燃費の向上に役立ちます。
S-ハイブリッドの仕組み ③:発進加速時
出典:https://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/shybrid.html
ハイブリッドでは、発進時にエコモーターがトルクアシストも実現。
走るときに背中をポンと押してもらえるようなもので、バッテリーに蓄えた電気エネルギーがエコモーターを回し、エンジンが駆動するのをサポートしてくれます。
これは以前のエコモーターには備わっていなかった機能で、「S-ハイブリッドをハイブリッドたらしめている」大きな要素と言えるでしょう。
セレナ S-ハイブリッドのメリット3つ
セレナS-ハイブリッドが支持されるのは走行性能だけではありません。
- 広い室内空間
- エコカー減税
- 燃費の向上
では、ひとつひとつ説明します。
S-ハイブリッドのメリット ①:広い室内空間を維持
セレナの売りは、なんといっても広い室内空間です。
セレナはS-ハイブリッドシステムや2個のバッテリーをエンジンルームのなかだけに収め、室内空間を犠牲にしていません。
これで広い室内空間をキープしつつ、走行性能の向上を実現しているのです。
S-ハイブリッドのメリット ②:価格アップの抑制とエコカー減税
S-ハイブリッドでは、大幅な価格アップを抑えることに成功しています。
価格はほぼ据え置かれつつ、税制面では優遇措置を受けられるようになりました。
S-ハイブリッド搭載車はエコカー減税により自動車取得税20%、自動車重量税25%が減税となります。
具体的な金額的には、取得税・重量税合わせて20,000円以上が優遇となります。
S-ハイブリッドのメリット ③:燃費の向上
セレナS-ハイブリッド車は、広い室内空間はそのままに燃費向上も実現。
カタログ上の燃費(JC08モード)は、以下のとおりです。
- 「X」「ハイウェイスター」:17.2km/L
- 「XV」「G」「ハイウェイスターV」「ハイウェイスターG」:16.6km/L
2.0Lクラスの8人乗りミニバンでは、初となる「平成27年度燃費基準+20%」を達成しました。
ちなみにガソリン車「S」の燃費性能は、15.0km/Lです。
S-ハイブリッドの仕組みまとめ
セレナのS-ハイブリッド化は、従来から搭載されていたエコモーターを改良することで実現しました。
S-ハイブリッドは「スマートシンプルハイブリッド」の名のとおり、シンプルな構造であるため室内空間を狭くせずに、価格も従来よりそれほど上がっていません。
燃費性能も飛躍的に高くなりましたし、エコカー減税の対象でもあります。
ただ、バッテリーが2個となったところは、初心者にとってはわかりづらく、バッテリー交換で悩みのタネとなりがちです。
こちらのS-ハイブリッドにおけるバッテリー交換ページも参考にしてください。2個セットのお得なバッテリーも紹介しています。